※ 日本古来の食文化にとって、味噌、醤油、食酢、納豆、漬物、鰹節、鮨などの発酵食品はなくてはならない存在です。
発酵食品は、麹菌、納豆菌、乳酸菌、酵母菌などのさまざまな発酵菌を利用し、野菜や果実、穀物、豆類、魚などを発酵させてつくる食品です。各種発酵菌の力を借りて、食材をあらかじめ分解し、消化・吸収しやすくした食品ということもできます。そのため、素材の栄養素を無駄なく取り入れることができるので、食べる量は少なくてもエネルギーがどんどんつくられていくのです。
発酵菌は、食物の栄養を吸収しながら、ものすごいスピードで分裂・増殖し、酵素や栄養素をつくり出していきます。なにしろ、細胞分裂して増えていくときに酵素は不可欠だからです。増殖するためにはたくさんのエネルギーが必要なため、発酵菌は酵素によってエネルギーをつくり出しているといってもいいでしょう。
※ 味噌や醤油は、ゆでた大豆や蒸した大豆に麹菌などを加えてゆっくりと発酵させた後、さらに時間をかけて熟成させます。加熱するため、原料の大豆そのものの酵素は失われていますが、麹菌が発酵するときにつくり出す酵素がたっぷりと含まれているのです。
また、熟成の過程で、中に含まれているさまざまな成分に化学変化が起こり、活性酸素に対抗する抗酸化成分などの有用成分が増していくことがわかっています。
※ 納豆もゆでた大豆に納豆菌を加えて発酵させたものです。納豆の中には、血液をサラサラにする作用があるとして注目されているナットウキナーゼという酵素をはじめとして、脂肪分解酵素リパーゼ、炭水化物分解酵素アミラーゼ、セルラーゼなどが豊富に含まれています。いわば納豆は酵素のかたまりといってもいい食べ物なのです。
※ 漬物も酵素をたくさん含んでいます。ぬか漬けをつけるぬか床には酵母菌、乳酸菌、酪酸菌などが無数に住んでいて、ビタミンや有機酸、抗酸化物質などを大量に生産しています。また、野菜の中に含まれていたミネラルを有機化して、人間の体が吸収しやすい状態にしています。 |